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【尊属殺人規定違憲判決】レイプ魔の父親を殺した女性は死刑か無期懲役かどちらか(だった)。

昔の刑法では尊属殺人(親殺し)は普通の殺人罪に比べて特に重く罰せられていました。親殺しは「死刑か無期懲役」しかなかったのです。

 

しかし、ある事件がきっかけで、尊属殺人重罰規定は憲法違反と判断されました。

その事件の内容が凄惨すぎます。

 

【事件の内容】

栃木県矢板市のある家庭で、父親が自分の娘Aをレイプしました(当時14歳)。

以降も、父親は継続的に肉体関係を強要し、Aは17歳の時に父親の子どもを産みます。その後も4人の子どもを産み、さらに6度の妊娠中絶手術を行いました。

Aはずっと父親との肉体関係を強要され続けましたが、就職先の会社員と恋仲になり、結婚の約束をしたところ、これを知った父親が激怒。10日間にわたってAは父親に監禁されたのですが、耐えきれなくなったAはついに父親を殺害。

なお、ここまでなってもAが父親のもとから逃げ出さなかったのは、自分が盾になって妹を父親性的虐待から護るためでした。

 

判例(昭和48年4月4日判決)】

このような事件に対しても、当時の刑法200条(尊属殺人規定)を適用して死刑か無期懲役を科すほかなく、減刑しても執行猶予をつけることはできませんでした。

最高裁判所は、この事件の裁判において、尊属殺人の刑罰として死刑か無期懲役しか選択できないのは重すぎるとして、刑法200条は憲法14条(法の下の平等)に違反するものとして憲法違反の判断をしました。

憲法とは国の最高規範であって、これに違反する法律は効力を持ちません。

そのため、この事件では刑法200条ではなく、普通殺人を定めた刑法199条で刑罰が決められたのです。

結論は「懲役2年6月執行猶予3年」でした。

 

【オワ弁判例解説】

それにしてもこの事件の親父は鬼畜過ぎます。

娘に対してレイプを繰り返し、5人も出産させ、6回も中絶手術を受けさせるとは正気の沙汰ではありません。

一方のAは妹を護るために家から逃げ出さなかったとか泣けてきます。

ずっと父親から性的虐待を受けてきたAとしては、父親を殺すことしか自分が助かる方法はなかったと考え、殺害に及んでしまうのも無理はありません。父親側にも大きな落ち度があります。

当時の裁判官の価値判断としても、Aを実刑とするのは重すぎると考えたのでしょう。

実は、それまでも刑法200条が憲法違反かどうかは何度も争われてきたのですが、最高裁はずっと合憲の判断をしてきました。

そのため、今回の事件を契機として刑法200条が違憲であるという判断を行い、結果としてAを執行猶予とする結論をとったのです。

なお、現在は刑法200条は存在せず、親殺しも殺人罪(刑法199条)で裁かれることとなっています。

人を殺すことは重大犯罪です。

が、その背景をみると複雑な人間関係が潜んでいます。

刑罰は法律に従いますが、法律を超えるべき事件もあるのです。

 

【まとめ】

判例の重要度:★★★★★(刑法200条が削除された)

被害者(父親)の鬼畜度:★★★★★